明日は会議や日帰り出張などでブログを更新できませんので 本日2本目を書きます。
(ほぼ日刊と称してますので)
先に御断りをさせていただきます。
以下の文章は 多分に「専門的」になりまして、「花卉生産農家」あるいは「種苗関係者」
「花作りマニア」の方以外は???が並ぶことになると思いますので
引き返すなら今のうちです。
(本文)
今年も生産者様からの依頼を受けまして「切り花用キンギョソウ」のプラグ苗を作り始め
ました。例年 7月10日播種の8月20日頃のお渡しになるのですが
○キンギョソウは節間が伸びてしまうと良い切り花が出来ない。
ので、プラグ播種後に夜間冷房室での管理をしておりました。すると 発芽が不ぞろいに
なってしまい 結果として良品苗を納めることが困難なのです。普通は 冷涼な気候の
ところで播種、育苗管理をお願いするのですが ロットの事もあって数年前から自前生産を
しております。
園芸の常識人(応用が効かない)たる私は
○ 播種用土は肥料濃度が高くないピート主体のもの を選択
○ プラグ(288穴)に用土を詰め 種まきの2~3日前からジョロで灌水し土を落ち着かせる。
○ 播種した後、キンギョソウは好光性種子なので 日中は寒冷紗(50%)下で管理し
夜間は23℃の冷房室で管理する。
○ 1日に数回のミスト散水にて冷たい水(冷所に汲み置き)を与える。
○ 発芽から幼葉展開までこの作業を繰り返し 本葉が見え始めた時点で屋外管理をする。
といった工程をしていました。多分 農学部では80点をもらえると思います。
この方法で発芽まで約5日、順化開始まで2週間位です。
さて、今年 多事多忙にて 嫁さんに種まきから管理一切を任せました。(お願いします!)
彼女がとった方法は 私には考えつかない物でした。
○ 百均の店でプラスチックの食品保存容器(タッパーのパチ物)を買ってきました。
○ 容器1個につき 吸水ナプキンを3つずつ入れます。そこへひたひたになる程度の
水を注ぎます。
○ ナプキン1個につき約100粒のタネをその上へ置いていきます。
○ タネが蒔き終わったら キッチンの窓辺(北向き)に並べます。キッチンと言っても
コンロからは遠く 火の熱の影響はありません。ステンレスなのでひんやりします。
水周りの近くで、蛍光灯が近くにあり ほぼ1日中 明るい環境にあります。
○ そこで2日間を過ごし、冷蔵庫で一晩おき その翌日外へ出すと・・・
なんと
発芽(発根)しているじゃありませんか!
○ それをプラグにピンセットで移植をしていくと なんと100%の発芽率を達成。
驚嘆!
なぜ こんな方法を取ったのか?いや 思いついたのか?尋ねました。
曰く
「暑い時期の発芽は少量といえど肥料が邪魔をする。であれば無肥料で」(種まき土の事)
「キンギョソウは好光性だけど、吸水している時に弱い光にあてれば充分」(種子の性質)
「キンギョソウは根が伸びてから上に伸びる。根が入らない素材で吸水させれば
移植が楽なのよ」(植物の性質)
「冷蔵庫に入れたのは、発芽を揃える為よ」(発芽温度が生育適温より高い性質の利用)
わが 奥さまに
脱帽、敬礼
球根などで、冷蔵処理(催芽処理)をする方法で これと似た方法がありますが
独学で この方法を思いつき応用できるなんて・・・負けた・・・。
わが奥さまは 園芸の天才かもしれない と思った瞬間でした。